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遺産分割の証明書

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年2月5日

1 遺産分割の証明書が必要となる場面

遺産分割が成立しても、亡くなった人名義の不動産の名義変更、預貯金の払戻を行うことができなければ、本当の意味で問題が解決したことにはなりません。

これらの手続を進めるためには、遺産分割が成立した際、遺産分割の成立を証明するための書類を作成しておく必要があります。

遺産分割の成立を証明するための書類として何の書類が必要となるかは、遺産分割の成立の仕方によって異なります。

以下では、場合分けをして説明したいと思います。

2 遺産分割協議が成立した場合

裁判所の手続等によることなく、協議で遺産分割についての合意が成立した場合、合意内容を記載した遺産分割協議書が作成されます。

遺産分割協議が成立した場合には、相続人全員が実印を押印した遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書が、遺産分割が成立したことを証明する書類になります。

遺産分割協議書が複数ページになる場合には、相続人全員の実印による契印をしておく必要があります。

なお、不動産の相続登記の場合ですと、印鑑証明書に有効期限はないことになっています。

これに対し、預貯金の払戻の場合ですと、半年程の有効期限が設けられていることが多いです。

3 遺産分割調停が成立した場合

協議により解決を行うことができなかった場合、家庭裁判所の調停に移行することがあります。

調停手続は、相手方となる相続人の住所を管轄する家庭裁判所において行われます。

調停で相続人全員が合意することができれば、調停が成立し、合意内容を記載した調停調書が作成されることとなります。

遺産分割調停が成立した場合は、調停調書が、遺産分割の成立を証明する書類になります。

この場合は、相続人の実印、印鑑証明書は不要です。

なお、調停調書において、亡くなった人の住所、死亡年月日、相続関係が記載されている場合は、不動産の相続登記の際、亡くなった人の相続人を特定する戸籍、相続人全員の現在戸籍、亡くなった人の住民票の除票については、提出する必要がありません。

ほとんどの調停調書は、上記の条件を満たしています。

4 遺産分割審判が確定した場合

調停によっても合意の見込みがない場合は、家庭裁判所の審判へ移行し、裁判官が遺産分割方法を決定することとなります。

裁判官による決定がなされると、相続人全員に審判書が送付されます。

審判書が届いてから2週間以内に高等裁判所への抗告がなされなければ、審判が確定することとなります。

遺産分割審判が確定した場合には、審判書、確定証明書が、遺産分割の成立を証明する書類になります。

調停調書と同様に、審判書において、亡くなった人の住所、死亡年月日、相続関係が記載されていれば、不動産の相続登記の際、亡くなった人の相続人を特定する戸籍、相続人全員の現在戸籍、亡くなった人の住民票の除票については、提出する必要はありません。

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