事務所選びのポイント
遺産分割は弁護士に相談しましょう!
最近では行政書士や司法書士,税理士も遺産分割の相談を行っているようです。
確かに,行政書士は市町村役場に提出するため,司法書士は法務局等に提出するため,税理士は税務署に提出するためであれば,遺産分割協議書を作成することができます。
しかし,弁護士法では,法律相談にのって報酬を得ることができるのは弁護士だけと定められており,行政書士,司法書士,税理士は,相続人の間で決まった内容を,ただ書面にすることしかできません。
また,遺産分割には,お話し合いで解決する遺産分割協議,お話し合いで解決しなかった場合に家庭裁判所で行う遺産分割調停・遺産分割審判がありますが,弁護士以外は遺産分割調停・遺産分割審判にも代理人として出席することはできません。
弁護士であれば,このような制限は一切ありませんので,遺産分割は弁護士に相談しましょう。
相続税にも詳しい弁護士に相談しましょう!
遺産分割の方法次第で,相続税額は変わります。
例えば,小規模宅地等の特例であれば,誰に土地を取得させるかによって,土地の評価額を最大で8割減にすることができますし,配偶者の税額軽減措置であれば,被相続人の配偶者が取得した相続財産の額が,1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは配偶者に税金がかからなくなります。
一般的な弁護士は,法律のことは詳しくても税金のことにはあまり詳しくないことが多いので,相続税のことまで十分に配慮した遺産分割案のご提案をすることが難しい場合もあるようです。
予想もしなかったような相続税がかかってしまうことのないように,弁護士を選ぶ際には相続税に詳しい弁護士を選びましょう。
トータルサポートができる弁護士事務所をお勧めします!
行政書士や司法書士の先生のなかには,相続人調査や相続財産調査までは行政書士や司法書士が行い,弁護士に依頼するのは遺産分割協議以降にしましょうなどと勧めるところもあるようです。
ただ,相続人調査・相続財産調査・遺産分割協議を別々の専門家に依頼すると,それぞれの手続きに費用がかかるため,かえって,費用や時間がかかることの方が多いようです。
弁護士であれば,行政書士や司法書士と異なり,相続人調査・相続財産調査・代理人として遺産分割協議などを行うことのすべてを行うことができますので,別々の専門家に頼む場合よりも結果として割安になることが多いようです。
また,遺産分割協議がまとまった後は,不動産の登記名義の変更や相続税の申告手続きがあります。
不動産の登記名義の変更では司法書士が必要になりますし,相続税の申告手続きでは税理士が必要となります。
知り合いの司法書士事務所や税理士事務所を紹介してくれるところもあるようですが,一から事情を説明して信頼関係を築かなければならず,時間も手間もかかります。
そこで,弁護士・税理士・司法書士などの複数の専門家が所属し,お客様のご相談をトータルサポートしてくれる弁護士事務所をお勧めします。
弁護士・スタッフともに常に最新の情報をフォローできる体制を整えている事務所をお勧めします!
相続の分野は,超高齢社会の時代の流れを受けて,法改正や判例変更が頻繁な分野です。
例えば,最近では平成27年に相続税法が改正され,基礎控除額が少なくなり,相続税が発生する方が増えました。
最新の法改正や判例の変更を確実にフォローできる体制を整えていなければ,予想もしなかったような相続税がかかったり,依頼者の方に不利益が生じかねません。
事務所内で,蓄積したノウハウを共有し,最新の法改正や判例の変更等に関する研究会を頻繁に開催し,弁護士・スタッフともに常に最新の情報をフォローできる体制を整えている事務所をお勧めします。
費用を明確に説明してくれる事務所を選びましょう!
遺産分割では,遺産分割協議を行う前に,遺言書調査,相続人調査,相続財産調査,相続の単純承認・限定承認・放棄の判断等,事前にやっておかなければならない手続きや行っておかなければならない判断があります。
必要な手続きごとに費用を設定している事務所もあれば,一括して費用を設定している事務所もあります。
一括して費用を設定している場合,前述した手続きのどこまでを行ってくれるのか確認するべきです。
遺産分割協議では決着がつかず,調停になった場合は別途費用が発生することや,そうでないことなど,事務所によって様々ですので,費用を明確に説明してくれる事務所を選びましょう。