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特別受益

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年10月26日

1 特別受益とは

被相続人の生前に、婚姻費用を出してもらったり、家を買ってもらったりといった贈与を受けていた相続人や、被相続人から遺言により贈与を受けた相続人がいる場合に、これをまったく無視して遺産分割をしてしまうことは、贈与等を受けていない他の相続人からみると、とても不公平です。

このような場合には、被相続人から贈与を受けた財産の価値を、相続財産の中に含めて調整し、各相続人の相続分を決めることとされています。

このとき、相続人が被相続人から贈与等によってもらった利益のことを、特別受益といいます。

2 特別受益の要件

相続人が受けた贈与のうち、特別受益とされるものは、次のとおりです。

⑴ 遺贈

遺贈とは、遺言による贈与のことです。

遺贈は、すべて特別受益とされます。

⑵ 生前贈与、死因贈与

婚姻、養子縁組、生計の資本としてされた贈与が特別受益とされます。

3 生計の資本とは

生計の資本とは、何らかの意味で資本として与えられたものに限定されるということで、少額の贈与などを除外する規定です。

このことから、生計の資本としての贈与になり得るものの例としては、居住用の不動産の贈与やその取得のための資金の贈与、扶養の範囲を超える金銭の贈与などが挙げられます。

4 計算の仕方

このような遺贈・贈与を受けた方が相続人の中にいる場合には、これを相続財産の価額の計算時に含めて(持ち戻し)、すでにもらった分を考慮して、遺産の分け方を決めることになります。

5 持ち戻し免除

ただし、相続人同士で話し合い、特別受益に該当する贈与等を相続財産の価額に含めて考えないという合意をすることは、差し支えありません。

また、被相続人が、生前、これまでの贈与を考えないで遺産分割をするとの意思を示していた場合には、特別受益が考慮されないこととなります。

これを、持ち戻し免除といいます。

6 特別受益の主張の期間制限

民法の改正により、令和5年4月1日以降は、相続開始(被相続人がお亡くなりになった日)から10年を経過した場合は、原則として特別受益の主張ができなくなりますので、注意が必要です。

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